冊子や製本の種類一覧|印刷会社に依頼するときの作り方も解説
しまうま出版デザイナーより
冊子の作成を検討する際、まずは「冊子や製本の種類が知りたい」とお考えの方も多いと思います。 そこで今回は、しまうま出版で採用していないものも含めて、冊子・製本の種類や、印刷会社に依頼する手順をご紹介。冊子作りで悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
そうですね。製本方法や用紙など、仕様は様々。まずは綴じ方の種類を学んで、どういったものに使われているかを知ることから始めましょう!
冊子の種類
冊子とは、表紙と本文が含まれる複数の印刷用紙を綴じたものです。身近な冊子の例として、以下のものが挙げられます。
- パンフレット
- カタログ
- 教科書
- 問題集
- 取扱説明書
- 同人誌
- 文集
このようにサイズや綴じ方が違っても、表紙と複数の用紙が綴じられていれば「冊子」と呼べます。
冊子の製本方法一覧
冊子の製本方法にはいくつか種類があります。どの綴じ方を選ぶかによって冊子の仕上がりが変わるため、製本方法ごとの特徴を把握しておきましょう。
製本方法 | 特長 | よく使われる冊子 |
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中綴じ | ページの内側まで開きやすい |
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無線綴じ |
ページ数の多い冊子も丈夫に仕上がる。 しまうま出版は無線綴じを採用しています。 |
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平綴じ | 自作に向いている |
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あじろ綴じ | 厚みのある冊子にも対応 |
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糸とじ | 開きやすく耐久性の高い冊子に仕上がる |
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中ミシン綴じ | 針金を使わないので食品業界や教育現場の冊子に採用される |
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中綴じ
中綴じは、印刷した用紙を重ねて中心を折り、その折り目部分をホチキスで綴じる方法です。ページの内側までしっかり開ける製本方法なので、見開きの近くに写真や文字を入れたい場合におすすめです。ただし、針金を用いるため、100ページを超えるような厚い冊子にはあまり向きません。
無線綴じ
無線綴じは、背部分を接着剤で固定する製本方法で、しまうま出版も無線綴じで商品を提供しています。表紙で冊子全体をカバーするので、丈夫な冊子に仕上がるメリットもあります。ただし、中綴じと比べると内側まで開きにくいため、原稿を作るときは見開き部分のデザインに注意が必要です。
なお、さらに仕上がりの強度を上げたい場合は、無線綴じの一種である「PUR製本」を採用するのもおすすめです。PUR製本は、ポリウレタンリアクティブ(PUR)という特殊な接着剤を使っています。PURは、接着性が高く、固まったあとの柔軟性が高いのが特徴です。
ただし、通常の無線綴じと比較して相対的にコストが高く、仕上がりにも時間がかかる可能性があります。
なお、しまうま出版では通常の無線綴じのみ提供しております。
平綴じ
平綴じは、印刷した紙を重ねてホチキスや糸で固定する方法です。中綴じと異なり、構造上ノドまで開ききることはできません。ただしシンプルな綴じ方なので、社内資料やレポートなどの簡単な冊子を自作するのに向いています。
あじろ綴じ
あじろ綴じは無線綴じを改良した方法です。無線綴じとの違いは、冊子の背の部分に切り込みを入れて、接着剤が染み込みやすいようにする点です。
ページ同士がしっかり固まって丈夫な仕上がりになる反面、ページが少し開きにくくなります。200ページほどの冊子にも対応しているため、厚みのある冊子を作る際に採用される綴じ方です。
糸綴じ
糸綴じは二つ折りにした用紙を重ねて、その折り目部分を糸と接着剤を用いて綴じます。冊子の背部分すべてに接着剤が付けられているわけではないため、開きやすいメリットがあります。耐久性にも優れていて、糸と接着剤の両方のメリットを感じられる綴じ方です。ただ、PUR製本と同様にコストが高く、仕上がりに時間がかかる傾向があります。
中ミシン綴じ
中ミシン綴じは、中綴じや糸綴じと同様に、二つ折りにした用紙を重ねて中心の折り目部分を綴じる方法です。針金ではなく糸を用いる方法なので、食品業界や教育現場など、安全面や衛生面に配慮が必要な場所で使う冊子に採用されます。ただし、ページが増えると強度が下がるため、綴じられるのは最大40ページほどです。
冊子の作り方
次に、冊子の作り方を紹介します。レポートや社内資料など、使用頻度がさほど高くない場合を除き、冊子の作成は印刷会社に依頼するのがおすすめです。
冊子作りの手順を一つずつ見ていきましょう。
1:冊子の仕様を決める
まずは、冊子の仕様を決めます。以下の方向性を決めておくと、スムーズに作成できます。
- サイズ
- 製本方法
- 綴じ方向
サイズは見た目の印象や、読みやすさ、持ち運びやすさを左右する要素です。初めにサイズを決めることで、文章や写真をどのくらい載せるのかが検討できます。製本方法は、全体のページ数や冊子の仕上がりイメージをもとに選ぶと良いでしょう。
なお、綴じ方向は「右綴じ」と「左綴じ」のどちらにするか決めます。閉じた状態の冊子を表紙側から見たときに、右側が綴じられているのが「右綴じ」、左側が綴じられているのが「左綴じ」です。一般的に、縦書きの場合には右綴じ、横書きの場合には左綴じを選びます。
2:ページ数を確認する
次に冊子全体のページ数を確認します。ページ数は「表紙周り4ページ+本文=総ページ数」で求めます。基本的にページ数は4の倍数もしくは8の倍数になるよう調整しましょう。
なお、綴じ方によって印刷会社に依頼できるページ数は異なるため、事前に確認が必要です。無線綴じの場合は、12~144ページの4の倍数で依頼するのが一般的です。
3:台割を作る
ページ数が確認できたら、台割を作るステップに進みます。台割とは、どのページに何を載せるかを記入する、冊子の設計図のようなものです。「どの内容に何ページ必要か」「どの順番にするか」を決めておくと、冊子をスムーズに作成できます。
また、台割はExcelやPowerPointを使って作成可能です。無料テンプレートを利用できるサイトもあるので、効率的に作成したい方は、ぜひチェックしてみてください。台割については以下の記事で紹介しています。
4:原稿を作成する
ここで、原稿の作成に移ります。Adobe IllustratorやAdobe Photoshop、CLIP STUDIO PAINTなどのデザインツールをお持ちでなくても、WordやPowerPointを用いて作成することも可能です。
5:印刷会社にデータを送る
原稿が完成したら、印刷会社にデータを送って冊子の作成を依頼します。印刷会社によって、原稿の入稿方法や指定の書式が違うので、あらかじめ確認しておきましょう。
なお「しまうま出版」では、本のサイズやページ数、綴じ方向などの基本的な仕様を指定し、原稿を画像化して配置するだけで簡単に冊子が完成します。
まとめ
冊子は製本方法が異なるだけで、仕上がりの印象が大きく変わってきます。目指したい仕上がりやページ数、冊子の用途にあわせて製本方法を選ぶことをおすすめします。冊子の方向性が定まって作成に移りたいと考えている方は、この記事で紹介した冊子の作り方もぜひ参考にしてみてください。
自分の作品を本にしようと製本についていろいろ調べているのですが、仕様や種類が多くて、自分が作成したいものにどれが最適なのか分からなくなってきました...。