生産誤差の出やすいポイントを知って、イメージに近い冊子づくりを
しまうま出版デザイナーより
印刷物では生産上どうしても避けられない誤差はつきもの。データの作成で失敗しやすいポイントを把握することで、ある程度のイメージとのギャップは回避することが可能です。思っていたものになるべく近い状態で冊子を作るためのコツもご紹介します。
あらら…おっしゃるとおり、断裁目安はあくまで「目安」なので、若干ブレてしまうんですよね。
注意するポイントがいくつかあるので、データの作り方の目安と一緒にご説明します。
お願いします。今後もなるべく失敗したくないので、この機会にしっかり勉強しておこうと思います!
なぜ誤差が発生するの?
そもそもなぜ「線に合わせて切るだけ」なのに誤差が発生してしまうのでしょうか。それには、生産上やむを得ない事情があるのです。
まず、冊子の生産では一度にたくさんの紙を重ねて切るため、どうしても手で一枚ずつ切るような精度が出せません。
他にも、大きな紙を折ってから断裁するので、折るときに発生した微妙なズレが断裁時に影響したり、印刷時には紙そのものがその日の気温や湿度によって収縮したりと、仕上がりがズレる要因には様々なものがあるため、生産の誤差を無くすのは極めて難しいのです。
特に断裁ズレの影響を受けやすいものには以下のようなものがあります。ここでは、それぞれ注意点や回避策を詳しくご説明します。
- 断裁目安ライン付近の要素
- 塗り足し
- フチのような表現
断裁目安ライン付近の要素
すでにご説明したように、断裁目安ラインはあくまで断裁「目安」であり、この通りに切れることを保証するものではありません。
実際の断裁では、断裁目安ラインの内側にも外側にもズレる可能性がありますので、切れてほしくない要素は断裁目安ラインより内側に余裕を持って配置をお願いいたします。
しまうま出版では、断裁目安ラインよりも3mm程度(塗り足し幅と同程度)内側に要素を配置いただければ、切れないように生産を行っております。
塗り足し
塗り足しとは、生産上避けられないズレを見越して、断裁目安ラインよりも外側に余裕を持ってデータを作成しておく部分のことを言います。製本時の断裁によって切り取られる可能性が高い部分です。
塗り足しが作成されていなかったり、不十分な場合、断裁ズレによって紙の白い部分が覗いてしまう場合があります。
しまうま出版の場合は、断裁目安ラインのおよそ3mm外まで余分のデータを作成いただくことをオススメします。特に冊子の顔になる巻きカバーや表紙に関しては、Illustrator、Photoshop、CLIP STUDIO PAINTのテンプレートファイルをご用意しておりますので、ご活用ください。
フチのような表現
最後にご注意いただきたいのが、フチのような表現です。
特に断裁目安ラインに沿って細い幅でフチを作成されている場合は、幅が均等にならなかったり、表現自体が切れてしまったりする可能性が高くなります。どうしてもフチのような表現を行う場合は、以下のような対策を実施されることをオススメします。
- フチのような表現は大きめに作成する
- フチについても断裁目安ラインより内側に余裕を持って配置する
まとめ
今回は生産誤差が発生しやすいポイントを3つご紹介しました
生産誤差も踏まえたデータ作成を心がけていただくことで、イメージに近い状態で冊子を作ることが可能です。今後のデータ作成・編集にお役立てください。
断裁目安のギリギリに文字を配置していたのですが、切れてしまいました。
多少の誤差はあるとしても、どのくらい内側に入れておけば切れないで済むんでしょうか…?