同人誌制作の費用はどれくらい?|ジャンル別の印刷・製本代の相場

同人誌って、作るのにいくらかかるの?
しまうま出版デザイナー

しまうま出版デザイナーより

「印刷費用や相場を知ってから計画したい!」そんな方に向けて、同人誌制作の費用をジャンル別料金の目安、印刷の内訳、費用を抑えるコツまで解説します。結論から言えば、同人誌の印刷費は 1冊あたり500〜1,500円前後が一般的。ただし仕様で変動するため、この記事では初心者でも仕様を決められるよう、体系的に解説しています。

同人誌制作の費用はどれくらい?|ジャンル別の印刷・製本代の相場
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こんにちは。同人誌を作りたいと考えているのですが、費用はいくら位かかる物なのでしょうか?また、安くするコツはありますか?

しまうま出版デザイナー

はい!同人誌の費用目安は一般的に1冊500~1,500円程度と言われています。安くするコツも合わせて同人誌作成にかかる費用を詳しく解説していきますね。

結論 — 同人誌の費用はいくら?

同人誌の費用(=印刷+製本代)は「部数・サイズ・色数・加工」の4つで大きく変わりますが、

一般的な仕様では、1冊作成するなら500~1,500円、10〜30冊で5,000〜3万円を目安だと思っておけば大きく外れません。


続いて、同人誌のジャンル別にもう少し具体的な費用を見ていきましょう。

ジャンル別|同人誌の印刷・製本費用

以下は、同人誌初心者が一般的な仕様で制作した場合の料金イメージです。
※オンデマンド印刷の「しまうま出版」を例にしています。

◼︎小説同人誌(A6/64〜128P・フルカラー表紙)

冊数 費用
1冊 556〜812円
30冊 8,500円〜1.2万円(1冊283〜411円)

小説同人誌は、同人誌の中でも相対的に費用が安いジャンルです。理由は以下の通り。


  • サイズが小さい(A6・A5)ため、使用する紙が少ない
  • 本文がグレースケール印刷で、印刷費用が安い
  • 文字中心で、写真やイラスト集のように高精細な印刷を必要としない


ただし、小説同人誌の特徴としてページ数が伸びやすいため、長編(200〜300P)になると費用が上がる点には注意が必要です。

◼︎漫画同人誌(A5/32〜64P/フルカラー表紙)

冊数 費用
1冊 396〜492円
30冊 1万〜1.3万円(1冊356〜442円)

漫画同人誌も本身がフルカラーではなく、グレースケールなど限られた色で印刷されるため、写真集などと比較すると費用は抑えやすいジャンルです。


一方、表紙はフルカラーにすることが多く、巻きカバーの追加(+50円)やPP加工(+150円)などを追加すると費用がさらにかかります。

◼︎イラスト集・写真集(A4/20〜40P/フルカラー・エコノミー印刷)

冊数 費用
1冊 1,000円〜1,300円
30冊 2.7万円〜3.5万円(1冊900〜1,170円)

最も費用が変動しやすく、高くなりがちなジャンルがイラスト集・写真集です。理由は次の通りです。


  • 全ページフルカラーで、印刷コストが高い
  • A4やB5など 大きめサイズが好まれる
  • 印刷方式(4色/7色)や用紙の選択で価格差が出る


色の再現性を重視したい人は高品質印刷(7色印刷など)を選ぶため、同じページ数でも漫画・小説とは倍近い価格になることがあります。



より詳しく金額を知りたい方は以下から簡単に費用計算ができますのでぜひご活用ください。


同人誌の費用は何で決まる?

同人誌の印刷費は複雑に見えますが、実は 「部数・サイズ・色数・加工」 の4つを押さえるだけで理解が早くなります。


1. 印刷部数|単価は下がるが総額は上がる

同人誌の費用で最も誤解されがちなのが「部数」の概念。

印刷は まとめて刷ったほうが1冊あたりは安くなるが、総額は高くなる という構造です。


  • 1冊:最も単価は高い(500〜1,500円程度)が、総額は最安。自分用の記念に最適
  • 10~30冊:単価はまだ高めだが、在庫リスクが少なく総額もバランスが良い
  • 100冊以上:ここからオフセット印刷で一気に単価が安くなる領域


初心者はまず 1〜10冊が最適解。特に、初めて作る小説や漫画は内容を見返すと「少し直したい部分」が出てきがちです。

少部数の印刷から始め、無くなってきたら増刷がもっとも安全に費用を抑える方法です。 



2. サイズ|大きいほど費用が高くなる

同じページ数・同じ仕様でも、サイズが大きくなるほど紙のコストが上がり、印刷面積も増えるため価格が高くなります。

  • A6・文庫サイズ:最安。小説におすすめです。
  • A5:漫画・ラノベ系の定番。費用と読みやすさのバランス◎
  • B5:漫画でよく使われるが少し高め
  • A4:写真集・イラスト集向け。費用は大きく上昇する



3. 色数|数が多くなるほど高い

左:エコノミーグレード(4色)で印刷 右:プライムグレード(7色)で印刷
左:エコノミーグレード(4色)で印刷 右:プライムグレード(7色)で印刷

印刷の「色数」は費用に大きく影響します。同人誌全体の傾向として、色数が多くなるほど高いというのが費用構造の基本です。


  • モノクロ(小説・漫画):最も安い。グレースケール印刷はコスパが良く、同人誌では最も一般的
  • フルカラー(イラスト集・写真集):カラー印刷は紙もインクも高く、費用が大幅に増える
  • 高品質カラー(7色印刷 など):作品の見栄えは大きく向上するが、そのぶん価格も上がる



4. 加工|足すほど高くなる

左:クリアPP加工 右:マットPP加工
左:クリアPP加工 右:マットPP加工

表紙PP加工、箔押し、遊び紙、帯、カバーなどの加工は、同人誌の完成度を一気に高めることができます。


しかし、追加費用が最も発生しやすい領域でもあります。加工を足すほど「総額が印刷費の1.2〜1.5倍」に膨らむことも珍しくありません。

初心者は、まずは表紙PP加工だけといった最小構成にするのがおすすめです。

印刷方式別の費用|オンデマンド・オフセット・コピー本

同人誌の印刷方式はオンデマンド印刷・オフセット印刷・コピー本の3種類。費用のインパクトが大きく、完成クオリティも変わるため自分にはどれが向いているのかを比較して選択しましょう。

1. オンデマンド印刷

同人誌初心者が最も選んでいるのがオンデマンド印刷です。

最大の理由は少部数に強い印刷費用の安さ。1冊から気軽に印刷でき、1〜50冊の少部数であればほぼ確実にオフセット印刷より安くなります。


初期費用が不要なため「同人誌をお試しで1冊だけ作りたい」「イベント用に30冊だけ印刷したい」といったケースでも無駄な費用が発生しません。

印刷品質も以前より大幅に改善され、現在では商業誌とほぼ変わらない仕上がりを実現できます。


費用とリスクを最小限に抑えたい初心者、初めての同人誌を作る人、少部数で効率よく制作したい人におすすめです。

しまうま出版デザイナー

しまうま出版もオンデマンド印刷で、1冊からの注文可能。初心者の方はぜひチェックしてみてくださいね。

2. オフセット印刷

商業書籍でも使われる本格的な印刷方式で、色の再現性や紙の質感がとても美しいのが特徴です。

ただし、版を作る工程が必要なため初期費用が高く、少部数ではオンデマンドよりかなり割高になります。


しかし、300冊を超えるあたりから単価が急激に下がります

1,000冊以上を刷る場合、オンデマンドの半値近くまで落ちることもあり、部数を確実に捌けるサークルにとっては圧倒的な単価の安さを発揮します。

色の階調表現に優れているため、イラスト集や写真集でこだわりたい作家に選ばれるケースも多くあります。


ただし、初心者が軽い気持ちで選ぶと一気に数万円〜数十万円規模の出費になってしまうため、イベントで必ず大きな売上が見込める作家、シリーズで定期的に大量頒布する作家など、用途がはっきりしている人に向いている方式です。

 

3. コピー本(自身で印刷)

費用面では最も安い方法で、自宅プリンタやコンビニのコピー機を使って作る手作り同人誌の定番です。

製本をホチキスで留めるシンプルな構造なので、紙とインク代だけで1冊数百円という安い費用で自分が欲しい時にすぐ作れるのが魅力です。


例えば、コンビニのマルチコピー機を使った場合、A5・20Pフルカラー冊子が1冊500円ほどで作れます。

一方で耐久性は低く、30ページを超える厚い本にはあまり向きません。フルカラーには不向きで、印刷の再現度にも限界があります。


ただし「無料頒布の冊子」「あえて手作り感を残したい作品」などでは今でも人気があり、同人文化として根強く支持されています。

「安さが最優先」「試し読み用に形だけほしい」など、明確な目的がある場合におすすめの選択肢です。


コピー本の作り方に関しては以下の記事で詳しく解説しています。

印刷・製本費以外にかかる費用|同人誌を楽しもう

同人誌の制作費は「印刷費」だけではありません。

表紙制作費・送料・イベント費・通販手数料も、総額を判断するうえで大切なコストです。

体感では、これらの費用が本体価格の20〜40%ほど増加要因になるケースもあります。

1. 表紙デザイン・イラスト制作費 / 謝礼

自分で作る場合は無料ですが、「イラストもプロに仕上げてほしい」という場合はデザイナーやイラストレーターの方への外注費が発生します。

もしくは、誰かに制作を手伝ってもらう場合には謝礼として渡すことがほとんどです。


相場は以下になりますが、もっと安い場合も高い場合もあるので、謝礼金は相手と相談して決めましょう。

依頼内容 費用目安
表紙デザイン 3,000円〜1万円
イラスト+デザイン一式 1万円〜3万円

表紙の作り方や、デザイン依頼の方法は以下の記事で詳しく解説しています。

外注の費用を削りたい場合は、テンプレートを活用したり、フリー素材を使った簡易デザインでも十分クオリティを出せます。

2. 送料

オンラインで同人誌を印刷する場合、多くの印刷会社では完成品の発送に送料がかかります。

例えばしまうま出版ではメール便(130円)と宅配便(690円)を選ぶことができます。


部数が増えると送料も上がったり、逆に早割・まとめ割で送料無料になる印刷所もありますのでそれぞれのサイトで確認してみましょう。

イベント直前で「特急便」に変更すると送料が跳ね上がる印刷所もあるため、納期の逆算も重要なポイントです。

3. イベント参加費 / 遠征費

コミケをはじめとする同人誌即売会に参加する場合、印刷費とは別にサークル参加費が必要です。

一般的なイベントでは、以下が目安となります。

イベント規模 費用目安
中小イベント 3,000〜5,000円
大規模イベント 6,000〜1万円

さらに、地方からの参加の場合は交通費・宿泊費もかかるため、印刷費用よりコストがかかることも珍しくありません。

とはいえ、イベント参加はファンとの交流や反応を得られる場なので、費用以上の価値を感じるクリエイターも多いです。

4. 通販販売手数料

しまうまマルシェの利用料金イメージ
しまうまマルシェの利用料金イメージ

通販で同人誌を販売する場合、プラットフォームごとに販売手数料が発生します。

例えば、冊子販売サービス『しまうまマルシェ』のサービス利用料金は「上乗せ額の3%」、お受取金の受取ごとに支払い手数料が「200円」がかかります。


ただし、在庫を持たずに始められる受注販売は多く刷りすぎるリスクがないため、初心者には費用の面でもおすすめです。

安い費用で同人誌を作成するコツ

同人誌の費用は、部数・仕様・紙の選択・入稿タイミングなど、いくつかの要素を意識するだけで大きく抑えられます。ここでは、初心者でもすぐ実践できて、かつ失敗しないためのポイントをまとめました。

1. 割引を活用する

同人誌の印刷費を確実に下げる方法が、印刷所が実施している割引やキャンペーンを利用することです。

以下のような割引を印刷所が実施している場合があり、活用すれば総額が数千〜1万円以上変わることも珍しくありません。


  • 早割(早期入稿割引):

イベント直前は注文が集中するため、早めに入稿すると10〜30%安くなるケースもあります。

  • 初回割引・新規ユーザー割:

初めての利用時だけ適用され、試し刷りや少部数の制作と相性抜群。

  • 季節セール/大型イベント前セール:

夏コミ・冬コミ前など、繁忙期外のタイミングで割引が大きくなることがあります。

2. 印刷会社を比較する

同人誌の費用は、印刷所によって同じ仕様でも1.5倍以上の価格差が出ることがあります。

理由は印刷所の設備や技術、サービス内容による強みの違いによるものです。そのため、複数の印刷会社から見積もりを取り、比較検討することが重要です。


価格だけでなく、納期や品質、対応の良さも考慮に入れましょう。

今はオンラインで簡単に見積もりを取得できる印刷所も多いため、手間を惜しまずに調べることが費用を下げることにつながります。

3. 試し刷りをする

同人誌制作でありがちな失敗が、大量部数の冊子を入稿し届いたものの、誤字・色味・ズレが発覚し刷り直すというケースです。


それを防ぐ方法が、1〜3冊の試し刷り

文字のにじみやモアレ、グレースケールの階調、カラーの色味(印刷機の癖)、トンボ・塗り足しの処理、紙の質感・厚みなどは画面と実物では大きく異なります。


試し刷りをしてから本番に進むことで…


  • 修正による再入稿での追加費用が少なく済む
  • 色味の不一致で本を刷り直すリスクもほぼ回避
  • イベントに向けて“自信のある1冊”が作れる


とメリットだらけです。とくに初めて同人誌を作る人ほど、試し刷りをしてみましょう。

まとめ

同人誌の費用は、仕様や目的によって変わりますが、基本的には個人制作なら1冊500~1,500円、イベント販売用でも5,000〜3万円前後で作成することができます。


最初は少部数から試して、作り方や印刷の仕上がりを体感してみるのがおすすめ。

同人誌制作は作品を本の形で残す貴重な体験です。自分のペースと予算に合わせて、ぜひ気軽に始めてみてください。

記事の中で紹介している商品仕様や価格は記事公開時点のものです。

この記事を書いた人

しまうま出版デザイナー

しまうま出版デザイナー

記事公開日:2025年11月20日

記事更新日:2025年11月20日